耳鼻咽喉科・アレルギー科・気管食道科 医療法人社団くまいクリニック



のどのこと

咽頭炎・扁桃炎

あらゆる外界の病原体がひっきりなしに侵入する所ですから、一番起きやすいのは炎症です。咽頭炎とまとめて呼びますが、場所によって上咽頭炎、扁桃炎を含めた中咽頭炎、下咽頭炎があり、急性、慢性に分けられます。正常の咽頭粘膜は、いつも粘液で潤いを保ち、侵入する病原体を胃に送り込んだり、啖としてからめたりしています。これは、粘膜細胞が粘液の層を繊毛運動でベルトコンベヤーのようにゆっくりと運ぶ機能があるためで、普通は病原体も粘膜に侵入するまえに運ばれてしまいます。タバコや乾いた空気などによって、この粘膜の機能が壊れされると容易に、病原体が粘膜に侵入し、増殖を開始するために炎症がはじまります。症状は、痛みと粘膜の発赤腫脹を伴い発熱することも多くあります。適切な治療によって3-5日で回復に向かいますが、糖尿病などの基礎疾患があると頚へ炎症が進展するので御注意ください。扁桃は関所の働きをしていますから、病原体のつくことが多く、炎症も激しいときがあります。病原体に対する免疫抗体を作るので炎症が長引くこともあります。特に3-6歳頃には扁桃が大きく、咽喉を腫らし白い粒々が扁桃の表面につくことが多くなります。大人でもひどければ、嚥下ができなくなり抗生物質などの点滴治療が必要になり、入院することもあります。扁桃の周囲まで膿が貯まってしまう扁桃周囲膿瘍になったら、口からの切開排膿が必要なので入院治療になります。アデノイドや扁桃は大きいだけでも浸出性中耳炎やいびきの原因になり、慢性の扁桃炎は腎炎、心内膜炎、掌蹠膿胞症などの原因になるので手術的に摘出することがあります。普通は5歳をすぎれば免疫能的にも手術が可能で、1週間くらいの入院ですみます。昔は局所麻酔でしたが、麻酔技術の向上もあり無痛手術を目指した全身麻酔で手術する施設が多くなっています。

口内炎

唾液の流出が低下してきたり、ウイルスの侵入などによって口腔内に炎症を起こします。アフタ性口内炎が一般的で含嗽や軟膏、パッチなどで治療します。

喉頭

喉頭は、前回の咽頭の先、気管との間にあり、食道と背中合わせになっています。外から喉頭の枠組みをなす甲状軟骨の隆起した喉仏(のどぼとけ=喉頭隆起)を触れることができます。その奥に音を作り出す声帯があり、気道の中で一番狭くなっているので声門と呼ばれています。喉頭は、普段、呼吸をしている時は、動きませんが、食べ物や飲み物を飲み込む(嚥下)時に、3から5cm上がり、声門を塞ぎます。それによって食物塊が気道へ流れこまずに、食道へ送り込まれます。これはいくつかの神経と筋肉が連動した調和のとれた運動で、嚥下反射と呼ばれています。その他にもいくつかの大切な機能があります。異物が侵入するのを防ぐ機能もそのひとつです。咽頭へ異物が侵入してくると声門が閉じて気道へ入らないようにする反射が起こります。さらに、異物が喉頭や気管に侵入するとせき(咳嗽)反射が起きます。これは、声門が一時的に閉じ、気道の内圧を高めてから急激に開く反射で、異物を外へ吹き出すことができます。熟年を過ぎてくると、この機能が少しづつ鈍くなってきて、唾が気管に入ったりすると、むせて苦しい思いをすることがあります。気道に貯まった啖を出すときには意識的に、同じようなことをしています。この他にも声門は多くの機能を持っています。安静呼吸時には、息を吸い込む時に声門は大きく開き、息こらえをする時には、ぴったり閉じます。そのために腹圧をかける(いきむ)ことができ、排尿、排便、嘔吐、分娩などができるのです。素晴らしい機能として、声を作り出すことができます。声門を狭めて息をすると、声帯が振動し音が出ます。声帯の長さ、緊張度などを微妙に調節することにより、声の高さ、大きさ、音色を作り出して、言葉によるコミュニケーションを可能にしているのです。個人差はありますが、どんな楽器よりも優れた音源といえるでしょう。

喉頭腫瘍

良性や悪性の腫瘍にかかわらず声帯に腫瘍ができれば、1mm以下の大きさでも嗄声(させい=声がれ)が起こるので、早期発見がしやすいことがあります。声門以外にできた時にはかなり大きくならないと息くるしさや飲み込みずらさなどの症状がでないので注意が必要です。腫瘍が大きくなると、物が飲み込みずらくなったり、むせ易くなったり、咳が多くなってきます。喉頭の良性腫瘍には、声帯ポリープ、謡人結節、ポリープ様声帯、乳頭腫などがあります。いずれも治りにくい時には顕微鏡下に口の中からの手術や、甲状軟骨(喉仏があるところ)を外から切る手術が必要になります。悪性はほとんどが癌腫である扁平上皮癌です。発癌頻度の男女比は9:1で、男性に多い癌です。嗄声、嚥下障害などの症状で発見されることもありますが、偶然に見つかることも多いものです。大気汚染やタバコなどの外的因子が影響しているという報告もあります。治療は、小さいものであれば、切除の上、放射線治療で完全治癒させることもできます。進展している症例では、喉頭を半分または全部取らなければならないこともあります。必要に応じて、頚のリンパ節を根こそぎ取る手術(根治的頸部郭清術)や食道の一部を一緒に切除しなければならないことも起こります。それと同時に、胃や腸を吊り上げて、食道の部分を再建する手術も必要になります。喉頭を取ると通常の音声が喪失してしまいますので、食道を使った食道発声や代用音声の取得が、次の課題になります。どんな癌も早期発見、早期治療が大原則です。喉頭も例外ではありません。

急性喉頭炎、喉頭アレルギー、 声帯ポリープ、慢性喉頭炎

ひどい風邪をひき、咳も出てくると、咽頭痛もさることながら、声がかれてきます。これは声門の周りや声帯が炎症を起こして赤く腫れてくるためです。声門は気道の中で一番狭いところということを前回お話ししましたが、炎症がひどくなると呼吸困難も生じます。のどがひどく痛く、物を飲み込むのにも苦労しているのに、扁桃や咽頭が腫れていない時には要注意です。喉頭の蓋をするように飛び出している喉頭蓋やその周りに浮腫を伴うひどい炎症があることが多いからです。適切な治療をしないと声門の浮腫が急激に進み、声が出せないくらいの呼吸困難になり、死に至ることがあります。炎症がなくても食物や花粉などで喉頭にアレルギー反応が起きても同じようになるので、声が急に嗄れてきた時は気をつけてくだい。また、咳が長く続いたり、大声や長話、カラオケでの熱唱の後に声が嗄れて治らなくなることがあります。これは左右の声帯がきちんと閉じられないような状況が起きるからです。その原因には、声帯ポリープ、謡人結節、ポリープ様声帯などがあります。いずれも治りにくい時には手術が必要になります。喉頭にも良性や悪性の腫瘍ができます。声帯に腫瘍ができれば、1mm以下の大きさでも嗄声(させい=声がれ)がでるので、早期発見がしやすいことがあります。声門以外にできた時にはかなり大きくならないと息くるしさや飲み込みずらさなどの症状がでないので注意が必要です。嚥下反射が衰えてくると、物が飲み込みずらくなってきます。関連する神経、筋肉の原因によることが多いのですが、時には腫瘍のこともありますので、むせ易くなってきたら異常だと思ってください。このように、病気の種類によらず、喉頭の機能が障害されると、嗄声、嚥下障害、呼吸困難など生命に直接影響する症状がおきます。外からは見えないところですので、すこしでもおかしいと思ったらすぐに、また、タバコを吸われる方などは、症状がなくても検診の意味で年に一回くらいは耳鼻咽喉科専門医で咽喉頭の診察をお勧めします。

咽喉頭異常感症

咽喉頭に器質的疾患がないのにもかかわらず、違和感、異物感などを訴える疾患で、中年女性に多く、喉頭アレルギー、更年期障害、心身症などとの鑑別に苦慮することが多い。症状別の治療が必要である。

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