耳鼻咽喉科・アレルギー科・気管食道科 医療法人社団くまいクリニック

果物を食べると口がかゆくなりませんか? その1


北海道の代表的な春のシラカンバ花粉症がそろそろ始まります。今年は花粉の飛散が多そうなので、普通の年はそれほど症状がひどくない人でも注意が必要です。「備いあれば憂いなし」。早めの受診をお勧めしています。さて、今回は鼻アレルギー、特にシラカンバ花粉症を持っている方で、果物を食べると唇や口の中、のどなどがかゆくなる病気についてお話ししましょう。これは、果実過敏症とか口腔アレルギー症候群とかよばれている病態です。日本では花粉症と言えばスギしかないように言われていましたが、世界的に見れば、北ヨーロッパ、カナダ、ロシアなどではシラカンバが主要抗原です。北方圏に属する北海道にヨーロッパタイプのシラカンバ花粉症があってもちっともおかしくないのです。そのヨーロッパでは、1940年代ころより、シラカンバ花粉症とリンゴ果肉過敏症についての報告や研究が始まりました。花粉症の人は、花粉症のない人に比べてかなり多くの割合で果物過敏症を合併します。原因となる食物は、バラ科のリンゴ、ナシ、モモ、サクランボなどが主ですが、プラム、メロン、スイカ、アンズ、バナナ、キウイ、ビワ、アボガドなどの他の果物、ヘーゼルナッツ、アーモンド、クルミ、ピーナッツなどのナッツ類、セロリー、ナス、ニンジン、ジャガイモ、キュウリ、トマトなどの野菜のこともあります。食べたものが唇や口の中の粘膜と接した時に、主にIg E(イムノグロブリンE)を介した即時型アレルギー反応が起こり、症状が出現するといわれています。非アレルギー性の反応のこともあり、どうして起こるかの本当のところはまだわかっていません。症状は、口唇、口腔粘膜、咽喉頭の、掻痒感(かゆみ)、灼熱感、知覚過敏、浮腫、腫脹、水疱疹(みずぶくれ)、絞扼感などです。ひどい時は、顔のかゆみや発赤、腫脹が現われることがあります。胃腸症状として、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などがあり、重症になると、喘息発作、全身の蕁麻疹、アナフィラキシーショックなどを起こすことがあるので、油断はできません。かゆければ、あまり食べなくなるのですが、子供では、給食にでることもあり、注意が必要です。口がかゆくなるような食べ物を、無理に食べさせるべきではないと心得ておいて下さい。

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